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  アキバイノベーションカレッジ オープンセミナー AICOS2010 Vol.2を開催しました
  (共催:秋葉原先端技術実証フィールド推進協議会)


鼎談

2010/10/22 AICOS2010 vol.2

《鼎談》
  「ICTイノベーション第三期 ?
   次世代のコンピュータとネットワークの意味を語る」

関口智嗣氏/(独)産業総合技術研究所 
             情報技術研究部門 研究部門長
保科剛 氏/日本ユニシス株式会社 最高技術責任者(CTO)
妹尾堅一郎氏/ (アキバイノベーションカレッジ 校長役)        (東京大学大特任教授、NPO産学連携推進機構理事長)

■ ITの40年周期説


 第2回AICOS2010は、ITの論客である保科氏と関口氏をお迎えし、妹尾先生との鼎談スタイルで熱く議論が展開されました。
 まず、保科氏より約50年のITの歴史について、利用する観点から大きく3期に分類して、60年代から70年代は企業のIT化、80年代から90年代は個人のIT化、2000年〜2010年は社会のIT化と捉えられ、この3期でビジネスモデルも大きく変わり、技術も類似した変化をたどっていると考えられるとの説明から始まりました。
 具体的には企業のIT化を例にとって40年周期で分類すると、1940年代〜70年代は、最初の10年できっかけが生まれ、次の10年で初号機が生まれ、次の10年で本格稼働して、さらに次の10年で普及するという流れで、市場とビジネスモデルと技術が連動しながら40年周期となっていることがポイントとのことです。
 個人のIT化の技術変遷では、1973年にXeroxのAltoというパソコンの原型となるビットマップディスプレイにマウスがついて、パーソナルユースの時代となり、1975年にMicrosoftとAppleが出て来て、19801年代初めにMS-DOSやMacintoshの原型であるLisaが開発され、1995年にWindows95が爆発的な普及をすることとなるが、この流れは、1940年代?70年代の企業のIT化と良く似ているとのことです。
 そして、社会のIT化は、1980年代初めにEthernetやTCP/IP等が開発されインターネットがスタートし、1984年のCiscoなどネットワーク機器の開発がキーワードとなったと分析されました。1990年代は、インターネットの商用化が進み、2004年にGoogle NASDAC、2007年にiPhoneやAndroidが開発され、現在はクラウドの時代だが、まだ爆発的な普及はしていないとの見解でした。

 次に鼎談スタイルにて、保科氏のご提言について意見が交わされました。妹尾先生からは、40年周期が企業のITから個人のIT、そして社会や人のつながりのITへとスパイラルな形で起こっているところが要点ではとまとめられ、関口氏はハードとソフトとサービスに分けられたと思うが、ハードが40年周期だとすれば、ソフトやサービスの周期はもっと短くなり、サービスに近いところほど加速感があるのではないかとの意見に対し、保科氏はそうも思うが、現実的には技術が認められて収益を生む事業性が確保されるには、やはりそれなりに時間がかかってしまうとの考えを示されました。
 40年かどうかは別にして、1つのスパイラルに対して、ハードウェア、ソフトウェア、ネットワーク、サービスの4構成で周期が回っていると考えられないだろうかと妹尾先生より意見が出されました。そして会場からも、スパイラルの中でも、ネットワークの発展がサービスに影響する様に、スパイラルの上のレイヤーの加速度も違ってくるのではという発言もありました。また妹尾先生より、もう一つ軸があるのではないかということで、スタンドアローンの時期、ネットワークができた時期、予想以上に何かが生まれそうな時期という提唱も行われました。保科氏は、「ネットワークの次は、エネルギーかなと思っていたが、サービスという提案をいただき、2020年へ向けていいヒントを得られました」とおっしゃっていただきました。

(写真をクリックいただくと鼎談の様子がご覧いただけます)

鼎談

■ クラウドとサービスの流れ

 次に、産総研の関口氏より「サービスビジネスの次世代モデルを考える 〜最近のクラウドやサービスの流れについて〜」と題して、時代の本質を捉えた話題提供を頂きました。
クラウドは、ネットワークに接続されたコンピュータでデータやサービスをどこからでも使えるようにするというコンセプトだが、社会の流れである所有から使用へというコンセプトの変化をITシステムで実現したのが、クラウドと考えるとわかりやすくご説明いただきました。
 ビジネスモデルとしても、受注生産型ではなく、共通のプラットフォームの開発にコアの開発を組合わせるように進展してきているそうです。ソフトウェアを部品(コンポーネント)化し、それらを組み合わせて全体を構成するコンポーネントベースの開発アプローチでは、自社のものだけではだめで、発想がオープンでないといけないとの意見を述べられました。また、「くらう度チェック」として、Googleやamazon web services、EVERNOTE、Dropbox、mobile me、 Linked inなどの認知状況や利用状況について会場へも問いかけがありました。そして、問題なのは、「紺屋の白袴」ならぬ、「クラウド売りのクラウド知らず」であると指摘されました。
 妹尾先生からさらに、「クラウド使わず」や自社のセキュリティーにより「クラウド使えず」になっている場合もあるのではないかという投げかけに、会場からも、さきほどの議論のサービスの速度があげられないのも含めて、日本の会社の文化が追いついていない現状を訴える声があがりました。関口氏もセキュリティーも含めた信頼度の高い高品質で高額のキャリアグレードが本当に必要なのか疑問を呈しました。
 保科氏からも、1960年代のTime Sharing Systemがクラウドの原型と言われているが、まさに社会のIT化時代のソフトウェアやサービスの在り方に対応している。しかし、プライベートクラウドやパブリッククラウドという言葉が生まれていることは、クラウドの命名者であるグーグルのエリック・シュミット氏も思ってもいない方向のはずで、システムの発想で後れを取っている企業内とのギャップの表れではないかと指摘されました。確かに、ビジネスモデルとしては違うが、外に置いている自分たちのリソースに対して、運用する技術というのは、クラウドで共有するので、技術の均てん化を図っているという意味では同じかもしれないと関口氏は語りました。そして、産総研が開発したユーチューブでも評判になった音声ロボット?のデモンストレーションがあり、このロボットはモノか動くAPIかという議論になりましたが、サービスのインターフェイスという結論となりました。
 最後に、妹尾先生より、「3つの情報化」として、1つ目は社会基盤3期目(100年ごとに起こる社会基盤の変容の第3期)であり、2つ目は工業社会から情報社会へ(現代は工業社会と情報社会の間の情報化社会)とし、3つ目は、スマート化=情報化である。という提言を頂きました。

 そして、AICOSについては、「イノベーションをさまたげるものはイノベートしない私である」ということで、このカレッジでは一方的に教えるスタイルではなく、みんなで考えるスタイルで行っていきたいとのことでした。また次回もお楽しみいただければと思います。

(写真をクリックいただくと鼎談の様子がご覧いただけます)

懇親会

■ IT懇親会?!

 あくまでも懇親会はいつもの万かつサンドにビールなのですが、話題はやはりITイノベーションとなり、講師の方々を囲んで、セッションの議論の続きを楽しむ輪ができました。
  若者のITの浸透度は高く、世代の違いもありますが、なによりまずは感性の違いが影響する様です。感性は常に磨いて、妹尾先生のおっしゃるセルフイノベーションを心がけたいものです。
 PRタイムも賑やかに行われ、アキバテクノクラブメンバーとオープン参加の方々との交流も多く見られる様になりました。

(写真をクリックいただくとPRタイムの様子がご覧いただけます)

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