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  第45回アキバテクノクラブ交流会を開催しました
  (共催:秋葉原先端技術実証フィールド推進協議会)


ご講演

■ 国際標準化は早い者勝ち?!

 第45回交流会は、『イノベーションと国際標準化のクロス・フィールド』と題して、経済産業省 産業技術環境局 基準認証政策課 中西課長にご講演いただきました。
 国際標準の種類は、Windowsなどの実質的に国際市場で採用している世界標準の「デファクト標準」と、フィルム感度のように公的な機関で明文化され公開された手続きによって作成された「デジュール標準」と、Blue Toothのように関心のある企業などが集まって結成されたフォーラムが中心となって作成された、公的ではないが開かれた手続きで特に先端技術分野でよく利用される「フォーラム標準」の3種類があるそうです。
 また国際標準を作成している機関として認められている組織としては、ISO、IT関連のIEC、テレコミュニケーション関連のITUの3つがあげられ、その他に各国でも対応しています。標準を巡る国際環境はこれらの機関を舞台として、90年代以降「標準を制するものが市場を制する」時代へ変化しており、先端分野では特許権が入った国際標準の増加、WTO協定や政府調達協定の中での戦略的な標準化活動など、大きく変貌してきているそうです。
 国際標準化の事例紹介としては、非接触ICカード規格ではなく汎用通信規格としてFeliCaを国際標準化したスイカの事例、アメリカと中国で争いなお火種を残している無線LAN規格の事例、一般家庭用を日本方式とし高画質の業務用をアメリカ方式と棲み分けたデジカメの事例などが紹介され、特にデジカメの場合これが日本発の国際標準化となり、家庭用デジカメのシェアは日本が80%となった成功事例の一つとのことでした。
 しかし、DVDプレーヤーは日本メーカーが中心となってDVDフォーラムをつくり、国際規格化を主体的にリードしたものの、100%シェアから5年も経つと50%を切る状態になり、ビジネスモデルとしては失敗?!事例となってしまいました。
 また最近は、従来の集中型電源と送電系統とICT技術を一体化して、高効率・高品質・高信頼度の電力供給システムの実現を目指す、スマートグリッドに関する国際標準化も注目されはじめ、アメリカでは1兆円プロジェクトとなりその規格作りを商務省の標準技術研究所が中心となって提案し、日本でも「次世代エネルギーシステムに係る国際標準化に関する研究会」における検討を開始していますが、今後国際事業戦略として国家を挙げた競争が活発になるものと予想されました。
 本年度のATC交流会ではイノベーションに係るテーマを様々な専門分野のプロから講演いただいてきましたが、標準化のプロはイノベーションの視点から"市場を押さえる国際標準"を制する戦略が必要と強調され、ご講演を締めくくられました。

(写真をクリックしていただくとご講演の様子がご覧いただけます)

トークセッション

■ 標準化は投資!

 ご講演の国際標準化事例や最近の動きなどの中で、いくつかのキーワードを元にトークセッションは始まりました。
まず、「スイカは国内では成功し国際標準も取得したが、非接触ICカードとしては国際的に普及していない…」という状況から、どの技術レイヤーの国際標準を抑えたかが重要になるという問題提起がされ、スイカの場合はおそらく国内市場に目を向け国際展開を想定しないでビジネスモデルを組んだのではないかと妹尾先生は分析され、そもそも日本企業は鎖国の様なガラパゴス化する風土を持っているのではないかと指摘されました。 その指摘に対して、マーケットとしては国際展開も視野には入っているが、国内マーケットにそこそこの規模があるためまず国内向けの製品が生まれてくるため、国際的な展開を協業する外国企業パートナーをなかなか作れない現状があるのではないか、と中西課長からも行政の立場からご意見をいただきました。即ちグローバルに市場形成できるかということが国際競争のポイントで、国際標準をとることで選択肢からはずされないことにはなるが、ただ国際標準をとってもビジネス上成功できるとは限らないとお二方とも指摘されました。
 国際学会で標準を決める時代ではなく、産業界が中心となったフォーラムを形成することが重要で、IBMなどは"standard for standard"という標準を作る団体かどうかを認める基準の国際標準を作ろうとキャンペーンをしているとの情報を妹尾先生から教えていただいたところで、会場からも質問が飛び交いました。
  学会での世代交代が行われていない様に、標準化の4つの壁と称している距離の壁、時間の壁、言語の壁、いろいろやりとりしてもわかり合えないバカの壁の4つの壁を乗り越えていける人材が継続的に育っていないのではという懸念の声があがり、中西課長からも企業の中では、標準化は会社のためでなく、みんなのためにやっていることとの認識がまだまだ根強いことも人材が育たない原因の1つかもしれず、公共財がいずれ自社のビジネスに跳ね返ってくるという認識を持つことが必要とのやりとりがありました。
 そのやりとりを受けて妹尾先生も、独立行政法人が国際標準化のリエゾン機能を付与していくといいと思うということと、企業は標準化にかかる費用を、コストではなく投資として捉えることが必要なのではないかという2つの提案をされました。
 そして、ともかく標準化がビジネスや産業界全般に関わる時代になったということがポイントです!まさに産学官連携で頑張りましょう!と気合をいれて熱いトークセッションは懇親会へと引き継がれました。

(写真をクリックしていただくとトークセッションの様子がご覧いただけます)

懇親会
■嵐を呼ぶ懇親会?!

 台風の日に交流会となってしまいましたが、参加者への刺激は、台風にも勝る最大級で、極めて意味のある 会となりました!と妹尾先生もおっしゃる様に、懇親会も含めとても有意義な会となりました。トークセッションの最後で、妹尾先生より頂いた「VHS vs べータでベータは本当に負けたのか?」と「DVD vs ブルーレイでブルーレイは本当に勝ったのか?」という投げかけについて、ぜひご意見を!
 今後の交流会もますます目が離せません!

(写真をクリックしていただくとPRタイムの様子がご覧いただけます)
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